PM-970C/980Cの廃インクタンクエラー解除の考察

Last Modified: 2016/03/18 (文書再構成)

注意

廃インクカウンターは、プリンター内部に設置されている廃インクタンクと吸収材の吸収限界に達して廃インクがあふれるのを防ぐために設定されています。 この廃インクカウンターをリセットするだけでは廃インクがあふれ、プリンターが故障するおそれがあります。この点をよく注意してください。

PM-970C/PM-980Cを前提としています。ほかの機種の情報は、掲示板にあるかもしれません。

廃インクカウンター

PM-970C/980Cは内部で廃インクカウントを行っています。ほかの機種でも例外なく廃インクカウンターはあります。

この値は、プリンタ本体から直接ノズルチェックパターンを印刷することにより表示できます。左から3つ目が廃インクカウンターの値です。
ノズルチェックパターン

値は16進数4桁で、ヘッドクリーニングやフチなし印刷を行うと増加します。
限界値は一定の値が決められていますが、機種により異なります。(PM-970Cでは5FFFを過ぎると警告が表示されるようです) 限界値に近づくとプリンタウィンドウに「内部の部品調整時期が近づいています」と警告が表示されます。 限界値に達すると「プリンタ内部の部品調整が必要です」と表示され、インクランプと用紙ランプが交互に点滅し、印刷できなくなります。 この現象を「廃インクタンクエラー」と呼びます。
[プリンタ内部の部品調整が必要です]画面
この状態になると、通常はメーカーに修理を依頼すれば廃インクを処理した上で廃インクカウンターをリセットして帰ってきますが、 修理対応期限の切れた現在では何らかの方法で自力で廃インクカウンターのリセットを行わない限り、ゴミと化すことになります。

メーカーの修理対応はどうやっているのか

問題箇所が廃インクカウンターのみであれば、 「プリンターを分解→廃インク吸収パッドを抜き取って清掃→新品の吸収パッドに交換→分解したものを元に戻す→廃インクカウンターをリセット→インクカートリッジ交換・充填」 といった工程であると推測します。廃インクカウンターのリセットは、本体や内部のボタンではなく、専用の調整プログラムを使用しているようです。

PM-970Cは2009年9月30日に、PM-980Cは2010年3月31日に修理対応が終了したので、メーカーに修理依頼をしても(保守部品がないなどの理由で)断られてしまいます。 廃インクカウンターのリセットだけでも断られるでしょう。

値を自力でリセットする方法

この廃インクタンクエラーを解除する方法として、次のような方法があります。

  1. SSC Service UtilityのProtect Counter Reset、 あるいはClear counter overflowを行う (※対応機種のみ)
  2. WIC Reset Utility (※解除は有料、PM-970C非対応)
  3. 本体のボタンの操作
  4. 基板のEEPROMを強制リセット
  5. 調整プログラムによる解除

SSC Service Utilityによる解除

SSC Service Utilityは、廃インクカウンターリセットのほかに、インクレベルのリセットや 黒/カラーの個別クリーニング(カラー一体型のみ)ができるロシア産フリーウェアです。ink freezer機能を使えば、永久チップ代わりになるそうです。

現在、バージョンは4.30です。ここ最近は更新が止まってしまいました。2000年代前半までの多くのプリンタが対応機種として入っています。 しかし、対応機種に入っていても廃インクカウンターリセットができるとは限りません。PM-970Cがその例です。 SSC Service Utilityの作者にテストレポートを送り、新しいバージョンで対応すると作者から連絡をいただき対象機種に入ったのですが、 廃インクカウンターリセットは残念ながら動作しませんでした。(※インク残量関連機能は動作するようです) ほかの対応機種でも、廃インクカウンターリセットが動作しなかった、リセットしてもすぐに戻ってしまうという報告があるようです。

WIC Reset Utilityによる解除

対応機種であれば、廃インクカウンターリセットはもちろん、シリアルNo.、USB ID、ヘッドIDの読み書き、EEPROMのダンプ、 ファームウェアのダウングレードなどができるソフトウェアです。機種により使用可能な機能が異なることと、 廃インクカウンターリセットとファームウェアのダウングレードは有料でしかもその都度課金しなければならないといった注意事項があります。

PM-970Cは対応機種に入っていない上に対応機種にするためのレポートも作成できなかったため、詳細は割愛します。

本体ボタン操作による解除

PM-750CやPM-3500Cなどの古めのプリンターでは、本体のボタン操作により廃インクカウンターがリセットできるものがあります。 古めのプリンターだけでなく、複合機タイプの機種でも解除方法が用意されていることがあるそうです。

SSC Service Utilityのヘルプで紹介されている方法をいくらか紹介します。 日本語訳してみました。

(1)EPSON Stylus Color 300

  1. LOAD/EJECTボタンとクリーニングボタンを押しながら、電源ボタンを押す。このとき、INK OUTランプとPAPER OUTランプが点滅するまで押しつづけること。
  2. 点滅したら全てのボタンを離す。
  3. 2~3秒以内に、もう一度LOAD/EJECTボタンとクリーニングボタンを押す。

(2)EPSON Stylus Color 400, 600

  1. LOAD/EJECTボタンとクリーニングボタンを押しながら、電源ボタンを押す。このとき、INK OUTランプとPAPER OUTランプが点滅するまで押しつづけること。
  2. 点滅したら全てのボタンを離す。
  3. 2~3秒以内に、LOAD/EJECTボタンを押す。

(3)EPSON Stylus Color 440, 640, 740, 460, 660, 670, 760, 860, 880, 1160

  1. LOAD/EJECTボタンとクリーニングボタンを押しながら、電源ボタンを押す。このとき、INK OUTランプとPAPER OUTランプが点滅するまで押しつづけること。
  2. 点滅したら全てのボタンを離す。
  3. 2~3秒以内に、クリーニングボタンを全てのランプが点滅するまで押し続ける。

(4)EPSON Stylus Color 680

  1. LOAD/EJECTボタンとクリーニングボタンを押しながら、電源ボタンを押す。このとき、INK OUTランプとPAPER OUTランプが点滅するまで押しつづけること。
  2. 点滅したら全てのボタンを離す。
  3. 2~3秒以内に、LOAD/EJECTボタンを全てのランプが点滅するまで押し続ける。

(5)EPSON Stylus Color 900, 980

  1. LOAD/EJECTボタンとクリーニングボタンを押し続け、電源ボタンを押す。このとき、INK OUTランプが点滅する。
  2. 全てのボタンを離す。
  3. 2~3秒以内に、クリーニングボタンを10~12秒間押し続ける。

(6)EPSON Stylus Photo 785, 895

  1. Maintenanceボタンとロール紙ボタンを押し続け、電源ボタンを押す。このとき、エラーランプが点滅する。
  2. 全てのボタンを離す。
  3. 2~3秒以内に、ロール紙ボタンを全てのランプが点滅するまで10~12秒間押し続ける。

(7)EPSON Stylus Photo 890, 1280, 1290

  1. Maintenanceボタンとロール紙ボタンを押し続け、電源ボタンを押す。このとき、電源ランプが点滅する。
  2. 全てのボタンを離す。
  3. 2~3秒以内に、ロール紙ボタンを全てのランプが点滅するまで10~12秒間押し続ける。

PM-970Cのボタンとランプ類を確認しましょう。
ボタンは、右から電源、用紙、インク、ロール紙ボタン。
ランプは、右から電源、用紙、インクエンド。ロール紙ボタンにランプはありません。

(1)~(7)のボタンと大体対応しているので試しましたが、全てダメでした。

別のボタンを押すのでは、と思ったのでやってみました。上の1.でボタンを押す組み合わせは、電源ボタンを除いて
(A)ロール紙+インクボタン
(B)ロール紙+用紙ボタン
(C)インクボタン+用紙ボタン
の3種類。しかし、実際に試したところ、(A)~(C)のいずれもダメでした。

では、全部のボタンを押しっぱなしにするのはどうだろうか。これもダメでした。

今までのやり方だと容易にリセットできてしまい危険だとメーカーが判断し、ボタン操作で解除できなくしたのかもしれません(※)。
(※根拠はまったくありません)

基板のEEPROMの強制リセットによる解除

最近掲示板に寄せられた情報で、分解してメイン基板のEEPROMの特定のピンをGNDに接続することで、 廃インクカウンターの値を強制的にリセットする荒技があるそうです。

しかし、EEPROMに他の大事な情報が記録されている可能性もあるので、副作用の懸念があります。

調整プログラムによる解除

メーカーが修理で使用しているのは、メーカー内で使用している調整プログラム(Adjustment Program)と呼ばれるソフトウェアです。 調整プログラムは、インターネット上に公開されることはなく、メーカーに問い合わせても断られると思います。 が、入手経路が不明なところから二次配布されています。 かつてはEPSONのFTPサーバーにこっそり公開していた時もありました(詳細)。 海外でも販売されていた機種であれば比較的入手しやすいのですが、PM-970Cなどのように日本限定の機種はそれほど出回っていません。 検索すると、調整プログラムを有料で売っているサイトがいくつか見つかります。
なお、何らかのルートで入手した調整プログラムはウイルスが含まれていることがあります。 ウイルスがなくても、操作を誤るとプリンターが動作しなくなる機能もあるため、取扱に注意が必要です。

その他

掲示板には

などの情報が寄せられています。(注:筆者未確認)

筆者は、SSC宛てにPM-970Cのテストレポートを送り、バージョンアップを待っていました。 テストレポートを2回も送ったにもかかわらず、未だに返事が返ってきません。
→2年たってようやく返事が返ってきました。


11/06 更新
2004/10/09 再更新

カウントアップの新事実

阿部まさんの掲示板によると、永久チップの場合カウントアップ数が通常の0x10倍(16倍)になるとのことです。 詳しくは、http://fc2bbs.com/bbs?action=reply&uid=34726&tid=1252850  掲示板のログがなくなってしまったので、こちらをどうぞ※をご覧ください。(KQUさん、Thanks!!!)
(※まずい場合は消去します)

永久チップは、インクカートリッジの残量を常に満タン状態に保持するICチップのことです。ICチップを取り外して残量をリセットする必要がないので、連続供給には欠かせないものです。純正でないことは言うまでもないでしょう。

永久チップだけを狙い撃ちにしたかどうかまではわかりませんが、純正でないインクカートリッジの場合はトラブルを避けるため純正よりも多めにインクを捨てていると思われます。

現在では、SSC Service Utilityの対応機種になりインク残量がリセットや保持ができるので、永久チップがなくてもあまり不便にはなりません。


11/08 更新

EPSONのFTPサイトから

ftp.epson.comにアクセスし、driversディレクトリからepson10???.exeを一括ダウンロードしました。
(注: 現在はダウンロードできません)

大半はプリンタドライバやTWAINドライバでしたが、サービスユーティリティ(純正!)もありました。たとえば…

epson10208.exeStylus Photo 2000P(95/98/Me)
epson10281.exeStylus COLOR 580(98/Me)
epson10282.exeStylus COLOR 880/880i/888(95)
epson10284.exeStylus Photo 780(95/98/Me) ※Main Board Replacement Prog.
epson10285.exeStylus COLOR 880/880i/888(98/Me)
epson10303.exeStylus COLOR 780(95)
epson10304.exeStylus COLOR 780(98/Me)
epson10330.exeStylus COLOR 777/777i(95/98/Me)
epson10356.exeStylus Scan 2500 ※Adjustment Utility
epson10380.exeStylus C60(95/98/Me)
epson10381.exeStylus C80(95/98/Me)
epson10383.exeStylus Photo 890/1280(95/98/Me)
epson10640.exeStylus COLOR 480SXU/580(95/98/Me)
epson10641.exeStylus Photo 785EPX/825

ただ、SSC Service Utilityはこれら全部に対応している上に、これら以外のものも対応しているので、意味はないかも。 また、いずれもWindows 2000やXPには対応してないようです。

PM-970Cで試したものの、何かボタン(インクレベルリセットなど)をクリックするとアプリケーションがフリーズしました。
EEPROM dumpなど、興味深いものもあるので、ぜひ使用レポートをお願いしたいのですが…
※Main Board Replacement Prog.にあるEEPROM initial settingなどは大変危険です。自己責任で!


2/18 更新

PM-980C、さりげないファームウェアバージョンアップ??

なぽちゃんさんのサイトの【急告】(リンク先は連続供給のトップページです)より、 「修理後のPM-980Cは永久チップ装着時に正常に印刷できない」ことが判明。 しかし、これがエプソンの意図なのか、偶然なのかは不明です。
PM-980Cでは、以前から永久チップをつけると廃インクカウンターが通常の0x10倍進む現象(上記を参照)が報告されていました。 ロットによって違うかもしれませんが、永久チップを使用する際は注意が必要です。印刷できないとなれば、永久チップを使わない以外対処法はありません。
今のところ、PM-970Cはそのような現象はないようですが、修理をした後同様の現象が発生する可能性があります。


2006/1/25 更新

SSC Service Utilityの作者の反応

テストレポートを初めて送ってから2年が経過したとき、ようやく作者から「最新バージョンでテストレポートを2つ作ってください。手動クリーニング前と後で」という内容のメールが来ました。 急いでテストレポートを作ると、1日もたたずに「前向きに対応する」と返事が返ってきました。

すばらしい!!きっといつかは次期バージョンでは対応してくれるはず。次期バージョンが楽しみだ・・・と思っていたこともありました。

嫌な予感がしていたのは、作者が「廃インクカウンターのリセットは情報が不十分で無理かも」と言っていたこと。

その後、PM-970Cが対応機種になったものの、嫌な予感の通り廃インクカウンターのリセットはできません。 日本でのみ販売されたほぼ同時期のほかの機種(PM-930C、PM-940C、PM-980C)も同様に廃インクカウンターのリセットができません。 作者に問い合わせても連絡が来ることはありませんでした。ちなみに、作者のページの対応機種一覧によると廃インクカウンターのリセットができないと書かれてあります。

※想定以上にこのページへのリンクが貼られていること、誤解を招く内容があったことに今頃気づき、更新します。


結論

調整プログラムを何らかの方法で入手するか、プリンターを分解してEEPROMの強制リセットを試さない限り無理。


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